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体験するアイドルから音楽とダンスについて4 -アイドル戦国時代-

Idle Music


体験するアイドルから音楽とダンスについて
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SPEED・モーニング娘以降は専門性が高まり、やる側も見る側も「ネタ」として「あえて」感があって、逆説的に一部ハロのセクト化を齎していたように思う。その事により新規のハードルが著しく上がってしまい、アイドル史的には停滞の時期といった意見が大凡の見方だろう。


こうなると、アイドルとそのファンは強力な内輪になってしまう。これ自体は過去、様々な新興ジャンルが経てきた事ではあるが、そのジャンルの多くが洗練とアカデミズムで強いバリアを敷いてきたのに対し、アイドルは死ぬまでポップカルチャーである宿命からは逃れられないという宿命にもがいてきたのではないだろうか。
その証拠というわけではないが、以前AKB48モーニング娘が共演したときのモーニングの地肩の強さには唸ったものだが、如何せん歌も踊りも強くてもそれが魅力や面白さに直結しないのが、面白くも難しい所。また、K-POPといった外部からのグローバルスタンダードクオリティが、視界の外から巻き上げ、そのどちらにもいけない立ち位置は傍目にも厳しい。数多のアイドルへのリスペクトから、アイドル史がやってはいけないコトだけが書いてあるルールブックと化してしまった冬の時代のアイドルはポップでもアカデミックでもない「悪い場所」だったと言える。



だがしかし、これもインターネット以前のアイドル史観でしかなく、シーンへの奉仕が前提化されて始めて浮かび上がる概念であって。大きい内輪のまま世間を巻き込む事が、ネット以降の共時性によって可能になるのかも知れない、といったアングル。それが俗に云う「アイドル戦国時代」という奴なのだ。それ以降アイドル史はルールブックではなく、巨大なネタ帳になったのだ。


ここまでAKB48がヒットする前までは、読モや美人すぎる素人であったことからも明らかなように、些か観念的且つ格好つけた言い方をすれば、現在は誰もがアイドルであってアイドルではないと言う方が出来る(隣の席で酔っ払ってるおっさんだって、ファンがいてそれが既成事実化したモノを本人が受け入れていれば、アイドルだといえる。それ自体の費用はネット以降ほぼゼロにできる)。一つの教室で五人程度が同じ人を好きならばもう殆どアイドルなのだ(極論だけど)。それはアイドル的なアングルからの逸脱という紋切り型の形容だけではなく、各々が各々の歴史にしか立脚しなくても独立できるのならば、アイドルという大きい物語を必要としないということだ。
それだけに冷え切ったグループに根ざせる根拠は無くなり、読モや美人すぎる素人や女優などとも剥き出しで戦わなくてはいけなくなるため、戦況は不利になることも多い。オタさんは優しいから匿ってくれるだろうが、それとあしなが育英会アイドルマスターとの差異はあるのだろうか(一対一の育成ゲームなら子供産めよ的な)。勿論これは観念的なモノで、採用するしないに関わらず振りかかるものなので知ったこっちゃ無いし、アイドルはどこまでいってもポップカルチャーである。だから個人的には円熟期によって、内輪のままポップカルチャーである事にアイドルが耐える強度を手に入れたと言う風に考えるのが妥当ではないかと思う。


例えばセクシー☆オールシスターズというグループは、(以前ならアイドル?と「?」を入れなければ、居心地が悪かったかも知れないが、このスピードの中ならアイドルだと、胸を張ってしまって大丈夫だと思うが)コンセプトにあった人間が数人呼ばれ、ヤンキーや戦隊物や三国志といった様々な意匠を小さい単位でコスチュームプレイしながら、そのどこにも属さない。
(セク☆オル内の)爆乳ヤンキーにおけるヤンキーは、クローズ、ろくでなしブルース、カメレオンにおけるヤンキーとは違い、別にヤンキーでなくても成立し、それを繋げる何かは「爆乳」なのだ。今までなら爆乳が(より大きい物語に見える)ヤンキーや三国志をぶら下げる大きい物語の概念足り得たかといえば、圧倒的に足りえなかったであろうが、それを可能にしてしまうのは、やはり上述したようなパラダイムシフトを経たからに他ならなく。今やセクシー☆オールシスターズEXILEが並んでいても、別段大きな差異は見出せない。



Perfumeが出てきた時にアイドルじゃなくて○○って言いたがる人がいたように、今後も○○はアイドルじゃないんじゃないか…と言われる事はあるだろう。だが問いそのものが無効化されている以上、その問いは質問者の自意識の問題でしか無い。その時にはサブカルの出番になったり、いやプロレスでしょうっていう人も出てくるだろうけども、そもそも空虚な中心が遠心力になるって事自体がアイドル性なので、それを言い合うこともアイドル戦国時代を構成するネタの一つでしか無く、答えや正解なんて存在しない。だから不毛だというわけではなく、ただのゲームである強度を得たファンたちは、その全員が批評という名のアイドルの二次創作者と言え。ファンとアイドルの違いもまたスレスレなのだ(アイドルが他アイドルグループオタである事が当然のように消費される)。
戦国時代とは言え事務所同士が本当に潰しあっているわけではなくw(AKB48のメンバーは複数の事務所に所属している)、アイドル同士が向きあうことで互いの魅力を引き出す事に注力している段階だが、本当に戦っている相手は世間の可処分時間である以上、時としてアイドルのまま(大きな内輪のまま)でアイドルではなくなる(外部)こともあるだろうが、その時は、暗闇の中でもどこにいるか分かるように、誰よりも大きい声で名前を読んであげて欲しい。気持ち悪いけど。

http://d.hatena.ne.jp/ATOM-AGE/20110528/1306583089