2004-11-15 円周率で君を包む街 創作 風景画のような風景に 旗を抱える旅立ちの情景 後ろ髪を引かれるような戸惑いも無く 憐憫の思いが鼻腔を擽る 今倒壊するビルの屋上に ふらふらと揺蕩う君の 唇を読み上げようと 必死にもがくけれど 僕は 「愛してるなんて言ってねぇ」 額縁がズレ落ち 焦点調整が瞬く間に 転がった芋虫を 薄手のゴム製手袋をした右手の ピンセットで掴み 誰だお前 と、愛の言葉を囁いた 眉間に皺が寄る