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華麗なるスパイ

TV


恋して悪魔任侠ヘルパーふたつのスピカコールセンターの恋人怨み屋本舗REBOOTメイド刑事、リミット−刑事の現場2−など今回はかなり面白いドラマが多い。そんな中、このあいだ始まった華麗なるスパイがなかなかひどい。まったく評価をされなそうだ。ペルソナとか葛葉ライドウ的な噂レベルの、トンデモ都市伝説が全て事実で、冗談にもならない僕の考えた秘密組織が、そのトンデモ技術を駆使して日本の裏で秘密裏に暗躍していたらっていう。とてもリミットの裏でやってるとは思えないひどい話だ。


噂や都市伝説ってのは恐怖や欲望や怠惰など、人間の感情的な想像力が生み出した存在しないモノである場合が殆どだが、技術的に存在していてもおかしくないものも中にはあり(笑)、例えばエシュロンなど想像の産物と無邪気に言えるだろうか。その一方で、技術的には可能なのに、人間という考える葦のレベルでその技術が、僕や君や僕らの生活の為に、目に見える形で現れる事は無い。もし本気でこんな話を吹聴していたら中二病所ではない痛い奴確定だ。しかし万博の頃、未来に馳せた思いは、もう想像上のモノではないのに、現実のものでもないという意味で、今の世界で(主に)科学的なものを通しても未来は見えにくくなっている。そしてその見えなさは、決して科学に限らず社会全体の雰囲気とシンクロする。だからこそ想像する。現代の諸問題にガキの想像力で立ち向かう。僕の考えた秘密道具(比喩としてのおもちゃの拳銃)で、人としてどうかと思う人間が集まり、(記号的)テロリストに立ち向かう(実際の事件や犯罪が記号的じゃないとは思えない)。夢の中でくらいは、かっこいい僕が未来銃で悪者をやっつけたっていいじゃない。
でも、ちゃんと宿題はやるんだぞ。


と、子供の頃考えたそんな世界は、決して世界に向けられていた訳じゃなくて、お母さんに怒られたとか、隣のあの子が気になるといった、とても個人的なものに向いていた。このドラマでもお金より愛とか、超絶どうでもいい個人的な話が、超未来技術で日本の危機を救う話と平行して行われる。そして、その超絶どうでもいい人情話を動かすのが、詐欺師の嘘であり、上記した想像力と嘘を殆ど同じものとして描いているのが興味深い。


実は、本当は、心の中では、そういったものは個人的な価値観であって、普遍的で公共的なものじゃないし、他人にとって完全にどうでもいい。現実の社会を変えるのは、実際に世の中に出た「嘘」のほうなのだ。ザックリ言ってこのドラマの世界は、理念よりも行動が世界を動かす、決断主義的社会を前提としている。長瀬の過去の(人情)話がどういう味付けの為に用意されているかは不安だが、「詐欺師」が「キャラ」を「演じて」「嘘」をつく。ということは、決して特殊な話ではなく、誰もが学校や会社で毎日やっていることだし。大くくりで言えば、上記した近未来的想像力を現実に出来ないのは、詐欺師がキャラを演じて嘘をついているためとも言える。


僕はホリエモン事件の時に、企業VS企業ベースの話を、人格ベースの話に矮小化し人格攻撃をする(このドラマで言う人情話的)やり方や人間性に、筆舌に尽くしがたい嫌悪感を覚えた。例えばこのホリエモンの話を(さらに)、個人的な好き嫌いの話に落とし込むようなもので。僕の心の中では殆どの人と同じ様に、好きでも嫌いでもどっちでもないが。そんなものは、これを読んでくれている人にとって、完全にどうでもいいし、嘘でも本当でも、心の奥底でどう思ってようが(身近で小さなトライヴ以外では)関係ない。その関係ない第三者が、嘘だろうがホントだろうが、好き嫌いや人格問題に落とし込んで認識しても、その事を誰も止められない。そしてそれが、実際の社会を動かしたのがホリエモン事件だったのではないか。


長瀬の過去話は、銭ゲバ的世界感っぽいが、それが嫌なら、そんな社会が嫌いなら、嘘であっても社会を変える行動力を肯定する。が、そこで癒されない長瀬の魂をどう救済するかが、このドラマのテーマになっていくだろう(何故なら安易に嘘を否定する事は、同時に人間の想像力をも否定する事になり、その想像力を生むのは感情的な人情話だからだ。つまり安易な二元論では人間を救済できない)。なにせ、ここは銭ゲバをやってた枠、ガチで痛い話が差し込まれたりしないかワクワク中だ。


もちろんこんなのは嘘で、人気がなさそうなので無理して褒めてみただけで、本当は華麗なるスパイが面白いなんてこれっぽっちも考えていない、なんて言わないよ絶対。